歴史を塗り替えたカーメロ・アンソニー
ニューヨーク・ニックスのカーメロ・アンソニーは、いつもより集中してシャーロット・ボブキャッツとの試合が行われるホームのマディソン・スクエア・ガーデンに到着した。
このとき、アンソニーはもちろんチームメイトの誰も歴史的な夜になるとは思っていなかっただろう。
日本時間1月25日に行われたボブキャッツ戦で、アンソニーは今季NBAハイの62得点をマーク。
バーナード・キングスのフランチャイズ記録(60得点)、そしてコービー・ブライアントのマディソン・スクエア・ガーデンでの記録(61得点)を塗り替え、新記録を樹立した。
試合後、アンソニーは次のように話している。
「まだ夢のようだよ。ここ(マディソン・スクエア・ガーデン)で今夜ほど興奮したことはないんだ。これほどまでファンが盛り上がったことは去年からなかったしね。とにかく感覚を取り戻せて良かった」
「チーム全員にとって、今日みたいな勝利が必要だった。もちろん俺にもね。チームとして自信をつけたかったんだ」
これまでのアンソニーのNBAキャリアハイは50得点。
ボブキャッツ戦では前半だけで37得点を記録し、後半にNBAキャリアハイを更新してからというもの、アンソニーがボールを持つたびにマディソン・スクエア・ガーデンはファンの喝采で包まれた。
「メロ!」と叫ぶファンはこの時を待っており、歴史が塗り替えられたことに感動していたのだ。
現在のボブキャッツのコーチ陣には、ニックスのレジェンドであるパトリック・ユーイングがいる。
そしてボブキャッツのオーナーは“バスケットボールの神様”ことマイケル・ジョーダンだ。
この偉大なレジェンド2人の前で達成した記録というものは、また格別だったのだろう。
アンソニーは、「彼(ジョーダン)は見ていたと思うよ。今夜、俺が歴史を塗り替えてやった。でも、こんな偉業を成せる選手なんて本当にごく一部だと思う。今日みたいなゾーンに入ることができる選手って本当に少ないんだよ」と自信満々にコメント。
成す術なくボブキャッツのベンチに座っていたユーイングは、「今日は彼(アンソニー)のための夜だったね。彼が放つショットは全部入ってしまう気がしたよ。我々は彼にダブルチームを仕掛けてボールを奪おうとしたんだけど、それでも彼はホットなプレイを続けていたんだ」と称賛した。
アンソニーはFG35中23本(うち3Pは6本)を決めただけでなく、13リバウンドを記録して勝利に貢献。
チームメイトのタイソン・チャンドラーは、「すごかった!ニックスの選手がアリーナ記録を持つことになったから、本当に嬉しいよ」とアンソニーを称えた。
今季のニックスは低迷を続けているうえ、エースのアンソニーにはトレードの噂がつきまとっている。
いつの間にかアンソニーから笑顔がなくなっていたが、ベンチに下がると満面の笑みを浮かべ、チームメイトと抱き合って喜びを分かち合った。
「チームメイトが立ち上がって、笑顔で迎えてくれた。みんなが笑顔を取り戻したんだ。あいつらの笑顔を見ることができて、俺も嬉しいよ」
アンソニーの活躍が口火となり、ニックスが復活を遂げることができれば、熱烈なニックスファンとして知られるスパイク・リーも大喜びだろう。
リーにとっても忘れられない夜になったに違いない。
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